yataroのけんきうにっき

データサイエンティスト見習い。マーケティングについて勉強中。

公共財ゲームと緊急事態宣言

今読んでいる本で 公共財ゲームというものが紹介されていて、度重なる緊急事態宣言と通じるものがあると思ったので何となく紹介。

読んでた本はコチラ

このゲームでは、数人、たとえば4人でグループを作り、各人にたとえば1000円の初期額が与えられる。

各人は1000円のうちのいくらをグループ(公共)のために支出するかを決定する。実験者は、各人の公共への貢献額を合計して、たとえば2倍し、それを全員に均等に配分する。例として、全員が400円ずつ貢献したとすると、合計1600円の金額を2倍した3200円を4人に分配するから、各人は手元にある600円と、分配額800円の合計1400円を保有する事になる。

自分が全く貢献せずに他の人が出してくれれば、たとえば、自分の貢献額は0で他の3人が全額出したら、自分の取り分は2500円になるから、このような「ただ乗り」は魅力的である。

逆に、自分が1000円全額出したのに他の人がゼロだったら、自分の取り分はたった500円であり、初期額より少なくなってしまう。(pp.273-274)

このような場合の全体最適はもちろん、全員が1000円を出して倍の2000円を受け取る事であるが、自分が1000円出しても他の人が1000円出してくれるかわからないので実際の行動の選択はそうとはならないのである。

この実験の結果としては次のように書かれている。

このゲームを毎回違うメンバーと10回繰り返して行うとする。初回は平均して初期保有額の30〜40%の貢献という協力行動が見られるが、協力の度合いは次第に減少し、10回目には10%程度まで落ち込んでしまう。

また、同じメンバーでゲームを繰り返して行う場合でも、最初の貢献額は50%という大きな強力が見られるが、やはり協力は次第に減少し、最終回では15%程度にまで減少する。

(中略)

協力関係は、放っておけば崩壊してしまう脆いものなのだという事である。(p.275)

 緊急事態宣言という公共財ゲームを何回も繰り返してると協力が得にくくなるという結果というのは容易に想像がつきますね(まあ緊急事態宣言の場合は感染拡大の度合いや行政の制限レベル、その科学的根拠の有無による信頼感など様々な要因が絡んでくるが)。

 

この公共財ゲームで、プレイヤー同士の処罰を導入すると協力率が劇的に上昇すると述べられているけど、緊急事態宣言ではその処罰は具体的にどう導入できるんだろうか。かなり個人の私権に踏み込む事になりなかなか危ない領域に入りそうですね。

まあ、これはあくまで宣言を何回も出す上で協力率を上げる手段は何か、という前提での話なので、これ以前にもっとやる事があるだろみたいな議論は多いにあるけど、自分の学術的興味からは外れるのでここまでにしておきます。では。